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和美は小学校5年生のときに「あたし共学は向いてない」と思った。
夢はマリア像の前で素敵なお姉さまに「タイが曲がっていてよ」と直されたり可愛がられることだ。中学受験用の予備校に通ってとにかく勉強した。オールAを撮り続け、通える範囲に唯一あった「中の丸学園」を受験し無事合格した。そして驚愕の事実が入学式のときに明かされることになる。
まず限りなく女子が多いだけで女子校ではなかった。マリア像の代わりに観音様が、十字架の代わりに曼荼羅が掲げられていた。あたしはマリみてを夢見て入学した先は釈迦みてだった。お姉さまに可愛がられたかったのにことあるごとに「外部進学の方はごめんなさいね」と浮いた存在でしかなかった。
それからもうひとつ、この学園の生徒会は「薔薇様とつぼみ」ではなく「上様と大奥」でできていた。
少女向け学園ラノベあるあるを踏襲しつつ、幼馴染みがイケメンだったり学園1の美女に見初められたりとかそういう王道展開をひっくり返していく感じで、雰囲気は懐かしい。丘の家のミッキー旧装版で育ったような世代の人1が読んだらドツボなんじゃないだろうか。
マリみてパロが楽しい2。「ロサキネンシスアンブゥトンプティスールのそのまたプティスール」が死ぬほどつぼにはまった。わたしは先代白薔薇様が好きだわー。
思ったよりびっくりするほどスクールカーストの話。
世田谷の私立お嬢様高校の普通グループの希代子は、外部からの編入生で有名カメラマンの父を持つ朱里と仲良くなる。朱里があまりに自由で、休みも多いのに先生には愛されてどこのグループにもまんべんなく付き合って、自分に正直なところに羨望を抱いていたが日記を盗み見したところからやがて嫉妬や怒りが沸いてくる。
クラスを扇動してクラス1の派手系女子も動かして朱里をいじめる。それも長くは続かなかった。
そういう話「フォーゲットミー、ノットブルー」からはじまる。
1番好きなのは「二人でいるのに無言で読書」である。
フォーゲットミー、ノットブルーにも出てくる派手系女子恭子の話。夏休みだというのに彼氏とも別れて店の手伝いもせず一人暇つぶしのため図書館にぶらぶらいってみたらクラスの地味女子「ウィンナー指」早智子と出会う。
恭子は本なんか読まないけど早智子の「本の話」は好きだという。早智子は「本は好きだ。恭子とは話は合わないけど綺麗。」というふたりが頭をつき合わせて無言で本を読み、時々本の話をして、ごはんを食べて一緒にいるという。恭子は人の目がすごく気になって、早智子は周りのことには割と無関心で、でも恭子といる時間は楽しいなあと思っている。
クラスの上位グループの女帝とオタクグループに潜む地味女子。その出会いにはじまる夏休みの話。
柚木麻子の単著を読むのはこれが初めてだけど、心理描写がすごくいい。
2学期デビューのため禁止されているバイトをするとか、自分以外の女子は皆普通とか、ここまで堕ちてくればいいとか、10代女子の自意識とか劣等感とか嫉妬とかたまらないな。まじ美味だな。
関東の人に「試験販売が発見されたら送ってください(゚д゚)人」って言ってたら3月末だったか4月頭だかにもう発見されて、4月下旬ごろに出る本を4月はじめに読み終わる不思議。
2巻はアレシュの家にいるメイドのハナの話です。百塔街に謎の大穴が空きます。
アレシュの野郎は相変わらず悪い男です。アレシュのくせに仕事をしています。今回のアレシュはなんかすごいです。アレシュのくせに!!!!!! ぶよぶよになれ!!!!!!!! ほんとにほんとにゴミですね!
クレメンテがほんとうに、狂気ライクなものが抜けて可愛いやつになってもう、P157とか死ねますね。
無駄にきらきらしてますね。ここで死ぬのがまどマギのマミさん。いいところをもぎ取った上で生きてるのがクレメンテ。
花嫁の金属板の前とか色々いい感じに不気味で適度に気持ち悪くていいと思います。
今回は割と全体的にはっちゃけてて、全般的にそんな感じなのにあっちこっちが愛の話なので、もう!!!! 結婚しよう!!!!! とおもった。
フォルモント国に豊穣祭の季節がやってきた。
例年のシャーロットなら食料を溜め込んで書庫にこもるのだが、今年は次期候補を探すために出席することになった。実技としてはまるで放棄されていたシャーロットの社交全般について叩きなおされることになった
テーブルマナーにドレスの仕立てにダンスレッスンに悲鳴を上げつつも豊穣祭は近づいてくる。宴の場は各領主達の政治的な駆け引きの場であり、まっとうに終わるはずもない。
2巻比随分と読みやすくなってなんだこれ。だだもれ地の文突っ込みは変わらず結構あるんだけど、今回はさほど気にならなかったので本当に没入度によるのか? と思った。相変わらず「甘い」ってなんですかっていう感じなんですが、たまに紛れ込んでる「ちょっとほかのと毛色の違うもの」にえっらいときめく。
リオンが本領を発揮していて、踏み砕かれて、トラウマと直面したり過去がみえたり色々とおいしかったです。
窪 美澄,瀧羽 麻子,吉野万理子,加藤千恵,彩瀬まる,柚木麻子による女子高生青春アンソロジー。
女子高生ですが当人的にはほとんど恋愛は関わってこなくて、むしろ百合百合である。
高校卒業したらもうこんな風に一緒にいられないとか、たくさんの時間と出来事を共有しているのに同じものを見ていないとか、一緒に東京へ行こうとか、女子校で女の子にキャーキャーいう感覚。焦燥感に絶望感、ともだち。
百合ですよって言うのは単に女の子同士がキャッキャウフフしているだけに留まらずキスまではするからです。でも性的な百合はないよ。
アンソロだったら割と当たり外れがあったりもするんですが、これは割とどれも面白い。
で特に好きなのは加藤千恵「耳の中の水」 彩瀬まる「傘下の花」 柚木麻子「終わりを待つ季節」
要するに百合百合してるやつです!
「耳の中の水」は仲良しグループのかなめから「好きな人ができた」と告白され、きゃあきゃあいいながら協力しかなめは無事彼氏ができた。のはいいのだけど四人は段々すれ違ってきたように思う。高校2年生、進級したくないようずっとここでいたいようという話。
「傘下の花」は転勤族の母に連れられやってきた長野県での話。標準語の私・訛ってる周り。馴染めない。
そして出会ったのが老舗の和菓子屋の一人娘だった。
「終わりを待つ季節」は大学推薦をとって私の選択はこれで間違ってなかったんだろうかエスカレーターではなく外に出るべきではなかったのかと悩み、ひょんなことから学年1の人気者と仲良くなる話。
「約束は今も届かなくて」は鷺沢萠さんのことが出てきてドキッとした。訃報を目にしたのも今ぐらいの季節だったなあ。ぐぐったら4月11日、もう8年前のことでまだ35歳だった。
「でも、女の子も怖いよね。みんなさあ、子供です、無邪気ですって顔しているんだけど、体はもうバッチリ大人なんだよね。男が欲しくてうずうずしているんだよ。私はいわば男の代替品。もみの木の代わりのヒマラヤ杉、ホットケーキミックスで作るお菓子、口紅じゃなくて色つきリップクリームってとこ」
(P256)
全3巻の上巻。中巻は連続刊行である。帝都万葉をうっかりつみっぱにしていたのでクダン発売を機に一気読み。
今度は桐子が女学校に通うことになった。桐子が女学生である。女学生である。
今回はすーごく女の子同士のキャッキャウフフがある。桐子がキャッキャウフフしているのである。? すげえ! /
恋に友情に大忙し☆みたいな。いやでもなんかいい意味で一昔前の少女小説。
まあでも、なにもなくて女学生になるわけではなくて神職関係者が特待生として集められている学校で、精神に変調を来たすものが後を絶たないという学校だ。
鬼ふたりも桐子が学生とか友達はちゃんとできるのだろうかとか、いじめられやしないだろうかとかもう本当に過保護だ。聖が心配するなら普通だけどまずユミちゃんが友達はできるだろうかとかいってるんだぜ。
今回は年齢相応のあの桐子の「可愛いところ」が盛りだくさんでとても満足でした。
伊津真天とかなつかしいねえなつかしいねえ。化け物さわぎはときめくねえ。
「時間は止められへん、やろ。……わかっとるけど、いざとなると寂しいんや! うおぉ、俺は寂しいでー! 志郎のアホー! 桐子はあいつのどこがええんやっ! なんやむちゃくちゃ、娘を嫁に出す父親の気分やんか!」
(P202)
「職場の作法」・職場の作法のスピンオフみたいな「バリローチェのファン・カルロス・モリーナ」・「とにかくうちに帰ります」の3篇。会社員小説です。
職場の作法はなんだかあちこちに見覚えがありすぎた。あるあるあるwwwwwみたいな。とても他人事ではない。浄之内さんが好きだな。「とにかくうちに帰ります」は穂村弘さんのエッセイみたいなタイトルだなあと思いつつ、読んでみたら台風みたいな天候で帰宅難民化している人々の話だった。
これを読んでいた昨日は「あしたは台風並みの春の嵐」とニュースで見ていたので、これらは明日の私か思いつつ読んだ。元妻と子どものためなんとか家路を急ぐ人とか、とにかく家に帰らなくてはいけないのだ! という人々の話。読んだ時期がこれまた他人事ではなかった。布団の中でずぶぬれになりつつ歩いている感覚を思い出した。
作中に出てくる万年筆。色が複数あって可愛い。