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Tag: 翔

休日、ストラップ、カメラ

「翔ちゃーん」
声に振り向くとシャッター音と大層な一眼レフカメラを構えた那月がいた。ピヨちゃんがついたストラップが那月らしい。
「何だよ」
「雑誌の企画で渡されました。密着アイドルの休日ていうんだって。だから僕は翔ちゃんをいっぱい可愛く撮ります」
「可愛いは余計だ! 妙なもん撮るなよー」

犬、布団、花

子どもができました、と掛け布団代わりにしていたタオルケットを持って幸せそうに緩んだ顔をして言われた。絶句する俺に構わず那月は喋り続ける。「僕精一杯可愛がります!」「お前いつのま、つかどこの誰だ!」「翔ちゃんもよく知ってる子ですよ?」「は!?」「向こうの通りの柴犬の花ちゃんですよ」

ファイル、つめ、机

この席からは斜め前の春歌の机がよく見える。休み時間だってのに楽譜出してきてよく頑張る奴だな。つかあのファイル俺がプレゼントしたやつ使ってくれてんだな。……俺が昨日塗った爪もそのままだ。もうちょっと触り
「何ジロジロ見てるんだい」
「翔、何考えてるか駄々漏れですよ」

咳 はちみつ ゆびさき

寝室のほうからは相変わらず咳の声が絶えず聞こえてくる。トキヤ君に喉にいい飲み物を聞いて蜂蜜ももらった。お湯を沸かしながら蜂蜜を指ですくって食べる。美味しい。はやく美味しいものが食べれるようになるといいのに。
「早く翔ちゃんがよくなりますように」
願いを込めてマグカップを混ぜた。

夜 突然の雨 暖かい

真夜中に物音がしたからふと顔を上げてみると頭から水をかぶったみたいな那月が立ってて俺の心臓は飛び出るかと思った。翔ちゃんいたんだ、なんて言うからさらにむかついて手を伸ばしたら暖かい毛玉に触れた。もうコートの季節ではない。ということは。
「お前猫拾ってんじゃねえよ! 何匹目だよ!」

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