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Tag: 翔

カフェ、缶バッチ、ソーダ

仕事が一段落して入ったカフェでふと那月の鞄が目に入った。普段はピヨちゃんグッズに埋もれている鞄にソーダの飴玉みたいなストラップがついていたから「お前がピヨちゃん以外って珍しいよな」って言ったら「翔ちゃんの瞳の色みたいでしょ」て返ってきた。あいつの考えていることは分からない。

「酔ってる翔ちゃんで翔春」いただきました-

「七海君そちらへ行っては……」
トキヤの制止も虚しく春歌はいきなり手を引かれ倒れこんだ。背中に手を回される感触がある。顔を上げるとよく見知った青い瞳があった。いつもより潤んでとろんとしているが、抱きしめる力はいつになく強いもので春歌は何が起こっているのかと困惑するばかりだった。
「しょ、しょ、うくんどう」
肩のすぐ近くに翔の顔がある。Tシャツから覗く首筋まで赤く染まっているのがはっきり見えるが春歌の心臓はそれどころではないぐらい早く打ち続けている。そんな至近距離で「俺があげた香水の匂いがする」などと呟かれ春歌はもう抵抗する力も失って翔にもたれかかった。
「今日は随分とおチビちゃんが積極的だねえ。またシノミーの仕業かい? 」
レンは翔の首筋に烏龍茶を突きつけると力が緩んだ隙にトキヤがふたりを離した。
「翔もそろそろ自分が飲めないことを知ればいいんです」
「それをイッチーが言う? 大丈夫かい子羊ちゃん。まだ何も飲んでないのに真っ赤だよ?」

*唐突に終わる

ポスター、壁、パネル

「お前なー、どうして俺のポスター玄関になんか貼ってんだよ」
「え? パネルに入れたほうがよかった? あれ一番翔ちゃんが格好よく映ってるって思うんです。壁に穴を開けるのはよくないよって音也君に聞いて」
「そういうことじゃねえよ」
「もうすぐ翔ちゃんにただいまって言えなくなるから」

スマホ・ポーチ・カラビナ

那月の鞄には黄色のカラビナがついている。いつもここにポーチやスマホなど重要な物がぶら下がっている。1度スマホを地面に落として再起不能なまでに割ったことから翔が付けたものだ。物販にも似たものが売られていたがこれは「お前の馬鹿力でも壊れないように」とクライミングにも使える特注品だ。

タブレット、指紋、イヤホン

コンサート期間中のトキヤは前回の映像を事務所でもらってタブレット端末で見てることが多い。「べたべた触らないでください指紋がつきます!」とか「そのイヤホンを離しなさい」とか「勝手に巻き戻さないでください」とか度々音也とやりあってて飽きねーなって思う。人の事言えた義理じゃねえけど。

グリーティングカード、ポプリ、封筒

翔ちゃんは今年も帰ってこない。仕事が忙しいからしょうがないし喜ばしいこととはいっても、昔は毎年パーティをしてプレゼント交換をしていたからあの頃が懐かしい。当日にメールも電話もするけどカードも贈る。ピンクの封筒に入れてポプリも入れた。山積みのレポートがなければ僕も札幌に行ったのに。

皿洗い、台所、満腹

デビューして数年たって一番変わったことは那月の料理だ。普通に食べられるっていうか美味い物を作るようになった。今日も腹いっぱい食べたから洗い物ぐらいするぞといっても台所の支配者状態の那月には通用しない。レンとの料理番組はそんなに良い刺激になったのかと思いつつ若干面白くない気もする。


銀行、信号、ふみきり

「おい那月ぃ、やっぱりさっきの銀行の所の信号左折だってよ」
「はぁい」
「地図読めねえんだからちゃんとナビも買えよなー」
「そしたら翔ちゃんがナビしてくれなくなるじゃないですか」
「いつまでも俺を頼んなよ。あ、次の踏切渡って左」
「翔ちゃん何で海外なんか行くの。僕はここにいて欲しいです」


答え聞かせてくれるまでは降ろさないしおうちにも帰しませんってことだよーーー

雑誌、写真、遊園地

「翔ちゃん、この雑誌見て。マスターコースの時の写真が出てきました~」
「あー、あのアリスやってた時のな。遊園地だったよなあ。藍が子供に絡まれて大変だったよなあ」
「楽しかったですねえ」
「だな」
皺の寄った手で翔は那月に手を伸ばした。
「俺ら、年取ったよなあ。藍は変わらないっていうのにさ」

嵐、城、蝶

「あのね、嵐が来たんです。僕は傘もって翔ちゃんを迎えに行ったら翔ちゃんは目の前で一杯の蝶になって皆お城に飛んで行っちゃったんです」
「それがこの時間に俺を起こした理由か。もう寝ていいか」
「……ごめんね」「俺は明日も明後日もここにいるから安心して寝ろ。いいな、おやすみ」
「おやすみ」

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