カテゴリー「 読了 」の記事

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14f症候群

14歳の女子中学生は無敵だという短編集。
既読のふりして3年ぐらい本棚に刺さっていたのをようやく読んだ。1話とかはリアルタイムで野性時代で読んでたなあ。

病気の話だ。微熱が出たり関節が痛んだりする日々が続くけど病院にいっても異常はない成長期でしょうと告げられる。彼女らは効能がよくわからない紅白のカプセルを内服していた。それから9日間、不思議な症状が起きる。
昨日までは女だったのに男になっていたりする。ささやかながらあった胸もまったいらになり声変わりもしてナニもついている。そういう感じの短編を含んだある女子グループの話である。

4話の「独占」がすごい好きなのだ。簡単に言うと停滞百合である。女王様と従者。

けれどあたしたちの均衡は崩れた。あたしと七美がこれまで互いを等しく必要としていたのは間違いないが、あたしたちは自分たちで思っていたよりもずっと危うい、ぎりぎりのバランスでもって左右の端に乗っていたのだ。それぞれの持ち物ががちょっと変わったらそのバランスはあっけなく片方に傾いた。

(P209)

ほかの短編は男女間で、これだけちょっと色が違う。少女同士はなんか妖しくて綺麗でどろっとしている。

マグダラで眠れ (電撃文庫)

眠らない錬金術師クースラと白い修道女フェネシスの物語。

錬金術師は身分は不安定でいつも生死の綱渡りをしているようなもので、多くは職人として立派にやっていけるものが多い。それでも茨の道を行くのは夢と好奇心が抑えられないからだ。人は錬金術師が見ている「その先の世界」をマグダラの地と呼んだ。

何度目かの死罪を言い渡されて助かってきたクースラはおなじ錬金術師のウェランドとともに前戦の街グルベッティの工房へ送られた。戦場近くの工房はクースラ達のような素行不良の錬金術師が配置される場所ではない。前任者のトーマスは不可解な死を遂げており後任者をほいほい連れてこられない。しかし鉄の生産量を上げる必要はある。というわけで捨て駒状態の2人の配置で、監視役としてフェネシスが配置された。

途中で失地回復運動とか出てきて、わたしの脳内では \ 父祖の地をとりもーどせー /とか侵略する者される者が流れてきおった。ああいう感じの時代で1読めばいいのかと思いつつ読む。マグダラの地は約束の地で再生される。
錬金術ですが、地味っていうとあれですがなんか胡散臭さよりも地面に足がついている感じがして、「異教徒」にときめいているあたり本当にSH脳。SH脳スイッチ入ってるから登場時のフェネシスのBGMはあきらかにArkだった。この職務に忠実さ。外見からインデックスだと思ったらホロだった
おもしろかった。

  1. レコンキスタは好きさがあまって資料をあたったりもした。 []

サマーサイダー

幼い頃は三浦誉と倉田ミズは恵悠の子分だった。
3人の関係は緊張感をもったものになったり子分ではなくなったり形を変えつつも高校になった今も続いている。
廃校になった中学校に残った備品の整理に最後の世代がかりだされ、最終的に残ったのは誉と悠とミズの3人。
3人が過ごした教室は卒業式の雰囲気をまだ残していた。2次会の出席や落書きが残された黒板を見ているとクラスメイトの声が聞こえてきそうなものの、室内は蝉時雨で満たされている。
干からびて花瓶に貼り付いた花が教壇に置かれていた。夏の日に教員宿舎で変死体として発見された担任に手向けられた花だ。3人の中学校の時の担任は「僕は蝉の幼虫なんだ」と蝉に傾倒した佐野青春という変わり者だった。

夏が来るまで寝かせてた。夏の福井が舞台の青春ホラー。
2人の少年と1人の少女(幼馴染み) 廃校になった母校 秘密 異形
といういつもの壁井さんです。ホラーはホラーなんですが、日常が侵食される系の?
鳥篭荘よりもうちょっと現実味がある感じ。いや鳥篭荘も大概ホラー要素があると思うんですが。

章扉がイラスト表紙なんですが、象徴っていうか暗喩っていうか。4章……! っていう。
あの時奥にあったのが「変死体」として処理されたアオハルの抜け殻なんだろうなあ

ラストシーンは脳内で再生するぐらいでちょうどいい。これが忠実に映像化されようものならガチホラーすぎて夏は外に出れなくなる。「ぱー……ぱ?」はやばい。あのながれであれはやばい。ゾクッとするなあ。

「いかにきれいな抜け殻を見つけるか」に重点を置いていた頃はあっても蝉爆弾に出くわしたことはないんだよなあ。フィクションあれだけ鳴いてるのに。隣の人の声が聞こえないぐらい鳴いてるのに。タイミングの問題か「ミンミンゼミは関西には生息してない」みたいなものか。

双界幻幽伝 初恋は永遠不滅! (ビーズログ文庫)

「双界の瞳」の真髄が知りたければ昏星に来よという張宝の誘いにいつものごとく蒼刻に連れ出された朧月。
最近の蒼刻による躾の結果「引きこもり」から「出不精」に進化したというがまあ「帰りたい」は変わらない。
昏星はただでさえ閉鎖的な町であるためふたりは新婚夫婦のふりをして「子宝祈願」のため訪れたという設定である。表紙のドヤ顔もそうですが恋に自覚的に動いている蒼刻はもう本当に爆発するといい。周りの温かい目もそろそろやばい。「さわりたい」という欲がやばい。ばくはつしろ。
ここ見せ場ですよっていうシーンじゃなくても何気なく触れているシーンに私は転がる一方です。

花宵の人形師  あるじ様は今日も不機嫌 (角川ビーンズ文庫)

姉の人形を直してもらおうと訪れた人形工房であかねは貴重なアンティークドールをなぎ倒し負った負債実に3000万。
家を離れて仕送りをもらいつつバイトもしての生活で、借金返済に充てられるのは実に5000円が限界である。
少しでも返済に充てるために人形工房に引越しとなる。

ビーンズでは珍しいガチ現代ものである。
全体的にダウナーなキャラが多くて、スロースターターな気配があちこちにある1
たとえば「ひとつ屋根の下の恋物語」という煽りですがいずれそうなるのかな? という感じです2

あとあかねの兄がシスコンポジションで出てくるんですが、何かこの人が気味が悪い。
正気ぶってるヤンデレみたいな。危ないラインは超えてるけどそれを認識していないのが気持ち悪い。
もうちょっとおさえめにするかもっと歪むか突き抜ければいいのに! とおもった。

  1. 好意的な解釈である。話の種を巻いてる感があちらこちらにあるので []
  2. 正味1巻だけではそのアオリはないわと思う []

水底フェスタ

直木賞受賞の話を聞き1年ぐらい寝ていた本を読む。
日本5大ロックフェスに数えられるまでに成長したムツシロ・ロック・フェスティバルで、睦ツ代村の村民の広海は芸能人の織場由貴美に出会う。由貴美は田舎を嫌いとうの昔に出て行った。村民からの評判も悪い。
ダムに沈んだ土地もあるこの閉鎖的な村はフェス誘致で盛り上がりを取り戻した。
この村には秘密と闇が眠っている。由貴美はその闇を暴きに復讐心を抱いて戻ってきた。

古畑任三郎とか右京さんがふらりと寄り付きそうな村だなあと思った。
フェスのシーンが好きで、ライブ行きたいなあと思ってまだ先の11月の遠征費用の試算などをした。
面白かったけど好きかどうかでいうとちょっと悩む。後味はもうちょっと悪くてもよかった。

ソードアート・オンライン〈10〉アリシゼーション・ランニング (電撃文庫)

アリシゼーション編2冊目。
前巻からのどうしてそうなった! が明かされるのが前半で話が進む後半。
人口フラクトライト周りは好きだなあと思う。悪趣味で。ペルソナ1のあたりのフィレモンとか胡蝶とかをおもいだす。
逆にクラインの壷とか。
リーナ先輩がとてもメンタルイケメンである。すごく面白くてやばいなーと思うのです。
続き早く(でも次はアインクラッド短編集なんだったっけ? タイムラインでそんなのを見たような覚えが)

人形姫と身代わり王子 (ルルル文庫)

「身代わり花婿の結婚」うん間違ってはないけど合っている気もしない。

人間の世界と魔族の世界、ふたつの世界の平和のため守護家の当主は魔界各国の王族を婿にとる。
双方の世界への不可侵及び万が一の場合の治安維持を円滑に進めるための政略結婚だ。
大抵の娘は嫌がり精神を病む者もいるが撫子は結婚の日を待ち望んでいた。
しかし式当日に現れたヴァリーは手紙とはまるで違う、なんとも言えないチャラいノリの「ヴァリー」に違和感を抱いていたが、式をあげた夜にヴァリーは偽物で身代わりのテオドルということを知ってしまう。
ヴァリーとの結婚を待ち望んでいた撫子が「ヴァリー」を拒んでいては不審に思われるもの。ふたりは人前では「戦略的乳繰り合い」を行うことになる。ニセコイ 1の楽と千棘がわりと近い気がする。

人前では「愛しの奥さん」と言い2人のときは「嫁」と呼び、スカートの丈を見てそんなに露出は駄目だ! という真面目なテオドルはとても可愛いですね。ふしだらな! とか痴漢です! とか言ってる人たちの話です。楽しい。

デ・コスタ家の優雅な獣 (角川ビーンズ文庫)

新シリーズ。登場人物紹介のページ見て「あら乙女ゲーライク」と思ったら砂糖の代わりに血が詰まっているような作品でした。

施設育ちのロザベラ(ロージー)は「あなたのお身内の方が見つかりました」と2人の男性に引き合わされた。
それぞれノア・ダリオと名乗ったふたりの母マリアとロザベラの母ファビラが姉妹なのだという。
デ・コスタ家の娘は特別。欲しがるものはなんだって与えられるし女王様にだってなれる、そういわれたもののロージーに突きつけられた現実は過酷なものだった。
デ・コスタの女の血は異能の力を産む。施設に迎えにきたノア・ダリオ・それから屋敷で待ち構えていたエミリオのうちの誰かと結婚して子を為せという。ロージーは自由を求めてファミリーの一員にしてくれとエミリオに願い出る。エミリオが課した試験は「裏切者を見つけ出してこの世から消せ」というものだった。

マフィアものです。殺伐としています。ロージーがまた内気な少女でまあアンゲルゼの陽菜みたいなものです。
内気で臆病な少女が生きるために啖呵を切るのは勇ましいと思います。「悪い子に、なっちゃう」は名言だと思いました。内気な少女がとんでもない場所に放り込まれて生きるために必死であがくというのはとても好きなので色々とがんばって欲しいなあとおもいます。

王立エトワール近衛隊  炎の剣士と誘惑の密約 (角川ビーンズ文庫)

エトワール近衛隊2巻。
精鋭部隊の次の任務は国際会議での護衛。フィニステリアの代表は戦争大好きソール王子。
既にもう一筋縄では行かない感じで溢れている。

この巻はソールとフラムが好きなんですよ。ちょっとこのねじれているところが。
フラムがシャリオ好き過ぎて私は死ぬ。アルはまっすぐすぎて死ぬ。まっすぐすぎて死ぬ(大事なことなので2回言った

------来い。膝をつけ。誰が主人か、教えてやる。

(P99)

再教育されるか殺されるかだ!

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