カテゴリー「 読了 」の記事

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楽園島からの脱出 (電撃文庫)

TRPGみたいなのからはじまったので何かと思えば脱出ゲームというアナログゲームの一部でした。

極限ゲームサークルは高校3年の夏休みを迎えて最後のゲームをすることになった。
ラストゲームはスポンサーに提示された企画でなにからなにまですべてスポンサー側で行われる。
男女50人計100人、ゲーム名ブリッツ、無人島の偽りのエデンの園で行われる脱出ゲームだ。
男女ペアが作られたがそれは別に皆それぞれに好きなもの同士で固まっていた。そして女子だけが持っている謎の機器と白いワンピースに意味と価値が持たされていく。

MW文庫じゃない土橋作品を読むのははじめてだったんですがおもしろかったなー。
神楽坂さんいいキャラをしている。とりあえず続きが楽しみ。とても楽しみ。

ミニッツ?一分間の絶対時間 (電撃文庫)

相上櫻には特殊な能力が備わっていた。1分間だけではあるが人の心が読めるというもの。
櫻はこの能力をフルに生かして、「出来すぎない気さくな優等生」として支持率を集め高1の間に生徒会長になるというのが今の野望だった。

知的バトルというか心理戦というか騙しあいだった。
最初は櫻と同じ「お母さん」という愛称を持つ二年生の琴宮遥にぎゃふんといわせてやりたいというところからはじまった。2人の戦いは「馬鹿と天才ゲーム」にはじまり登校拒否の遥の妹・彼方もまきこんでえらいことに。この彼方も一筋縄ではいかない。遥との戦い後にうっかり弱みを握られることになる茉莉とか櫻の幼馴染みのアザミとか、アザミの親衛隊とか、アホの塊がいる。アザミがもっともっと話に関わってくることになったらと思うと楽しみ楽しみ。

花の佳音 (メディアワークス文庫 あ 8-1)

知らない人だなあと思いつつ読み終わったらあとがきでシゴフミ?ってあってなつかしいなあああと思った。

店長が客に花を選ぶ「閑古鳥が鳴く花屋」フラワーショップ花音の話。
チューリップハットに着流しに地下足袋という怪しい格好の店長草介は「花の声」を聞くことができる。だから店の商品が売れるときは里子に出すような気分で涙ながらに別れる。
妻と死別した草介は植物馬鹿で浮世離れしていて、心の底から人間の幸せを祈る花たちの物語です。
ちょっといい話系です。菊の話はいいねえ。

封殺鬼 クダンノ如シ 中 (ルルル文庫)

帝都女学院に眠る鍵、穂積妙子が桐子たちの前に現れた。
妙子は自分が何者か知らず「禍いをもたらすもの」だといわれ、ここなら安全ではないかということで結界を張られて清浄な空気の学園のさらに塔の中に閉じこもっている。

不死木の人間の話はえらいときめくし、五一五事件キタワーとかときめくときめく。
やっぱりクダンはびっくりするほど女の子がキャッキャウフフしている話だと思う。あの桐子までもそういう空気。

「花物語」を朗読するユミちゃんと正座してそれを聞く桐子の図がおもろすぎてしぬ。

六花の勇者 2 (六花の勇者シリーズ) (集英社スーパーダッシュ文庫)

魔神を倒すために集まった六花の勇者、6人いるはずがなぜか7人いる。誰が偽物だ……の2巻。
冒頭からいきなり驚愕の展開で、どうしてそうなった! というのが時間を巻き戻して語られている。
追い詰められるモーラのガチ感がもう半端なくて、いやいやもう。モーラの壮絶な人生。あとロロニアすごい。
ネタバレを避けたいのでざっくりとした感想になった。

裏表紙のあらすじが盛大に1巻のネタバレすぎてどういう顔をすればいいか分からない。あれはひどい。

おこぼれ姫と円卓の騎士 女王の条件 (ビーズログ文庫)

優秀な兄2名が争いこのままでは内乱は回避できないとして父王はレティーツィアを次期女王に決めた。
人は彼女のことを「おこぼれ姫」と呼んだが当人は自分が王になることはずっと前から知っていた。
新人デビュー作のシリーズ化2作目。

実によい兄弟の話巻でした。
名誉騎士で行う勝ち抜き戦でレティの座席付近に血で描かれた呪いの魔法陣と鳥の死骸が発見された。
続く呪いと自分への挑戦かと怒れるレティ。やがて浮かび上がる犯人像。

若干殺伐としている気配はありますが、いいじゃないか! いいじゃないか!
次期女王として毅然とした姿で侯爵家を押さえ込む方法を模索しているレティはかっけーです。

あまからカルテット

日常の謎といえなくもない感じの、恋愛とかも含まれる仲良し4人組の女性の話。
ピアノ講師の咲子、雄雄しい編集者の薫子、平凡なようで鋭い味覚を持つ専業主婦の由香子、美人でやや高飛車な美容部員の満里子。それぞれが主人公の話と群像劇が1篇。
相変わらず食べているものがおいしそうでやばい。由香子の話の中で出てきた甘食は、以前旅行のときに関東の友人が「これ食べたことないだろうと思って!」って持ってきてくれました。「甘食」というのははじめてみました。ああいう形状のものはこちらでは「帽子パン」と呼ばれているのだ。
食べるラー油も1回も食べたことないので、味が想像できない。

「グルーポンのスカスカおせち」にふいた。

“朧月夜” ヒカルが地球にいたころ……(4) (ファミ通文庫)

ハーレム皇子ことヒカルが幽霊になってヤンキーキング是光に憑いた話4冊目。
ヒカルの兄の婚約者、月夜子が「ヒカルの大事な花を散らさないように見張っていて」ということばに日舞研に入部する一方で、葵からは彼氏になってくれといわれ、帆夏からは大変に気にされている。
こう書くと是光ただのハーレムの主次期候補だなあ。大丈夫です奴は真面目な子です。
帯では学園ロマンスと銘打たれているものの、重い展開が割とあるのでとても楽しいです。
今回のヤンデレはすごかったな。今までにあんまりない方向だった。
いやでも野村美月だからまだ更新してくれると信じている。

嘆きの美女

耶居子は新卒入社した会社もアルバイトも続かずヒキニート生活をしていた。生活のお供はジャンクフード/ヲチ板/ブログの荒らしと粘着/写真から個人情報を特定/通報・炎上・ブログ閉鎖に追い込むことという、すごく駄目人間だった。

今の玩具は「嘆きの美女」というお悩み相談コミュニティだった。耶居子はあれこれと駆使するがここの住人は煽り耐性が高すぎる。ならば「自称美女」の写真を晒し上げてやろうではないかとオフ会会場(ケーキ屋前)でカメラ片手に潜んだが、驚いたことに本当に美女ばかりのオフ会だった。
そしてオフ会参加者のひとり、ユリエのストーカーともみ合いになり乗用車にはねられ入院した。

退院後の耶居子は「嘆きの美女」オフ会参加者が同居している家で療養していた。あのコミュニティの管理人は小学校のときの友達で、休職中の看護師もいるこの家で是非とも療養をかねて御礼がしたい、と耶居子の母親に頼み込んだ。この家の住人は早寝早起き・健康な食事・適度な運動という健康的な生活をしており、外見も中身もブスだった耶居子は多少美人になる。攻撃的過ぎた生活も多少マシになった。
やっぱり陰険でひがみっぽいところもあるが魅力的な女性にはなる。

「終点のあの子」の奥沢エイジも登場する。
朱里はもう大学生になっていて、エイジの話の中に登場するけど本人は出てこない。

耶居子はこのあとフードコーディネーターの道へ進む。ジャンクフードを再現していくのだがでっかいコアラのマーチとかまじ美味そうで死ぬ。これに限らず食べ物の描写の「美味そうな感じ」がもう本当に半端ない。
「耶居子のごはん日記」は深夜に読むのはお腹と体重へのテロでしかなかった。

上等な土鍋の中には澄んだおつゆと、つやつやの白いうどん。とろんとした卵、かまぼこ、椎茸、ほうれんそう、焼き目のついた餅、ネギ、そしえぶっとい海老天が沈んでいて、いまにもほかほかと湯気が上がってきそう。

(P245)

ドラフィル!?竜ヶ坂商店街オーケストラの英雄 (メディアワークス文庫)

音大を出たものの借り物のバイオリンを抱えてニート一直線だった響介は、叔父の伝手で竜ヶ坂商店街にある公民館の臨時職員兼アマチュアオケのコンマスとして勤めることになる。よくある「町おこし」としてのオケとは違い指揮者も含めやたらと個性的でしかも実力のあるオケだ。少々人数は少ないがそれはアマオケの宿命というもの。
これはニュルンベルクのマイスタージンガーがずっと流れているような商店街での、音楽を愛する人々の物語である。

音楽ものはやばい。とにかくすばらしい。
音楽は比較的メジャーなものが多くて、葦笛の踊りは「ソフトバンクのCMのあれ」といわれれば脳内再生余裕である。マイスタージンガーはブギーポップの口笛で、展覧会の絵は宵闇の唄のあれ。
響介が車椅子の指揮者七緒に言われてオケメンバーの悩みとか謎とかを解決していく話でそれを通して絆が深まったり腕に磨きがかかったりしてひとつにまとまっていくのである。アスキーメディアワークスの人はビブリアよりこっちを実写化した方がいいよぜったいおもしろいよ。

「いいか……この世で最も残酷なのは、音楽だ。けどな、この世で最も愛に溢れたものもまた、音楽なんだよ」

(P103)
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