カテゴリー「 読了 」の記事

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トカゲの王 1 (電撃文庫 い 9-22)

久しぶりに異能異能した物を読むよ。
8歳の春休みのとき石竜子は自分の目の色が自由に変えられることに気がついた。最初は面白がって色を次々に変え、その次は能力そのものに目をつけた。ほかに何かを力はないかと色んなことをした。でも手からエネルギー砲は出ないし幻想を壊せるわけでも無駄に運動能力が高いわけでもなかった。目の色が変わるだけだった。
石竜子は中学生になった今も、目の色をあれこれと変えながら特殊な世界に足を踏み入れ能力に覚醒することを夢見ている。

ほとんど1冊まるごとドンパチやっていた。
相変わらず何かの能力に覚醒することはない。怪我したら痛いし得体の知れないものを目にしたら吐くし、命乞いもする。奇跡の大逆転とかあんまりなかった。いい感じに狂ってる人々はいた。ガチで理不尽な暴力に対してまじ一般人が巻き込まれるので、うん。 みたいな。戦争だ。
電撃のほうの入間人間を読むのはこれがはじめてだ。

真夜中のパン屋さん (ポプラ文庫)

眠らない町の片隅にそのパン屋はある。夜中から明け方にかけて開店しているブランジェリー・クレバヤシはオーナーと修行中のパン職人のふたりで営業している。まだ開店して間もない新しい店だ。
このパン屋を巡る物語。連作短編。

希実は生まれてからというもの放蕩者の母によってあちこちに預けられて育った。
祖母・母の勤め先のママ、ボーイ・飲み屋で同席したの店主、コンビニで同じ雑誌を手に取ったOL。カッコウのような母の最後の托卵先として選んだ場所は「腹違いの姉」の元だ。希実はそれが嘘だと分かっている。でも住んでいたアパートは解約され母は学費が入った通帳を残し旅に出た。父は随分前に会うことさえ拒否された。
希実はもうひとりだ。
覚悟を決めて転がり込んだ先が「ブランジェリー・クレバヤシ」だったが、母のいう「義姉」は事故死した後だった。希実はその後パン屋の手伝いをしながら、ある日小学生の万引き事件からはじまる、母失踪騒動に関わっていくことになる。

自分だけではもうどうにもならない状況になった擬似家族を作っていく物語。
こだまのもとには母が戻ってきてこれからも色々あるんだろうけど、それはもう物語の外だと思う。でも希実はどうなるんだろう。お互いは知っててだまってるような「本当はまったくの他人」であることをいう日や母と再会する日は来るんだろうか。まあ年齢が年齢だしこのまま独立する/せざるを得ない感じはする。これはもう少し続きが読みたい本だと思う。

ある日、月の夜に。 ? わがままな魔女と人狼の騎士

通常の魔法士の5倍の魔力をもつ金銀の眼を持つ魔法士セレスティナと半人狼ルーファスの物語。
セレスティナが今よりずっと子供の頃にはじめて使い魔にしたのがルーファスだ。それからふたりはずっと傍に寄り添っている。
王国騎士団を率いているが、17歳になってもまるで子供のような外見を隠すために魔法でごまかしている。ある日訪れたかつての学友アストラルにまるごと魔力を奪われ、小さな炎ひとつ宿すのにも苦労する有様である。
王に許可を得、セレスは自らの魔力を取り戻す旅に出る。

セレスの傲慢な女王様ぶりと、「孤高の強者」としてそうならざるを得なかった理由がじわりじわりと語られていく過程がたまらんのよ。この契約がどこにも居場所がなかったこどもに生きる目的を与えたのだ!(ばーん!みたいな展開が非常に好きです。非常に好きです。月も太陽も手に入れたとかなーもうなー! あのへんはもうごほうびでしかない。なんだあの罵りあいに似たなにか。
主従も好きなんだけどセレスとルーファスの「お互いの大事さ」加減がもうたまらんわーたまらんわーという。

アリー/アレイスターが大変美味しい。ひとりで二度美味しい。P208・209の威力よ!

「ずっとずっと、あたしの傍にいて。一緒にいて。この先はあたしがあんたを守るから、だからあんたもあたしを守って。それが契約。あたしとあんたが交わす契約よ。……いい?」
「うん。いいよ」
少年が頷く。やはり教えた文言無視の、格式も威厳もない答え方で、でも誠実に。
「傍にいる。きみを守る。ずっと、ずっと」

(P10)

奥様は貴腐人 旦那様はボイスマイスター (講談社X文庫?ホワイトハート)

北川ゆり33歳(職業MR1) 百合野曜27歳(職業声優。仕事は少ない)
ふたりは籍は入れてないものの事実婚状態にあり、ゆりは美人で体育会系のさばさばした男前の性格で男女問わずモテる。しかも同世代の女性と比べればすこぶる稼ぐ。男ひとり猫2匹養うことなど造作ない。
ただある一点において彼女はただのリア充とは訳が違いました。奥様はBLをこよなく貴腐人だったのです。
10年ほど前に評判になったゲームがリメイクされるらしいとゆりは職場の貴腐人仲間から聞きつけた。
「真昼の淵 白月の夢」というそのゲームは珍しくバッドエンドに入ってからもいくつかルート分岐するらしい。
それの主人公2に抜擢されたのが曜であることを知り、曜の声を愛するゆりの眼は怪しく光った。
一方曜ははじめてのBL挑戦にゆりから山ほどCDを借り個人レッスンを受ける羽目になった。

ゆりと曜のレッスンだけの話ではなく3ゆりが仕事先で出会う医者との話もがっつり。
曜の収録現場での苦悩なども。その辺は結構業界モノっぽい感じが。
BLゲームの収録現場とかあるので「BLとかキモイ」っていう人は絶対読んじゃいけない本なんですけど、これすげーおもろいと思うんだ。これはWHならではだなあと思った。ゆりが曜に淡々と講義する「曜くんのあえぎ声は全然エロくない」っていうダメ出しとか、あくまで「夫婦の物語」だったりするところが。BLだったらゆりが貴腐人じゃなくて腐男子か赤井さんか、何にせよガチで最後まで行くよねっていう。
ゆりと曜のやりとりは実にいい。ゆりが男前過ぎてまじかっこいい。

バッドエンドがどれもこれもえらいときめきだった。182ページのとか実に満たされるバッドエンドだな。
相手を愛するがゆえに自分が壊れてしまうとかそういう類なんですが。超ときめきである。

私声優とかまるで詳しくない4んですが、以前トップランナーの有川浩回の公開録音で堂上役の人の演技を目の前で見たんですがほんとすごかったです。声に表情があるってすごい。

  1. 医薬品メーカーの医薬情報担当者 []
  2. つまり受けである。 []
  3. むしろそれは割りと後半 []
  4. スレイヤーズとエヴァのあたりで止まっている []

ゴーストハント?旧校舎怪談 (幽BOOKS)

すごーく昔にコミカライズでちょっとだけ読んでいた。そのときには既に入手困難だったのだ。
学校の怪談ではじまり、幽霊が出ると噂の旧校舎の調査を依頼された「渋谷サイキックリサーチ」の所長は若干17歳だった。麻衣はビデオを壊した代償として助手として手伝わされることになった。
幽霊で、巫女に坊さんに神父に口寄せと色々非日常なんですがナルは超科学的だなあと懐かしく、しみじみ。

バカとテストと召喚獣9.5 (ファミ通文庫)

4冊目の短編集。
どう見ても徹頭徹尾うらら得
世の中にはうららさんみたいな人が割といるんだろうか。劇場型うららさんパねえ。
というのもちょっとお前らに子作りしてもらいます(意訳)と男二人が選ばれたり、明久と雄二の出会いから7.5の美波の短編にいたる物語だったり、いろいろひどい(超褒め言葉)

土屋家訪問がよかった。あのムツ兄がよい。あと\ 吉井、坂本 アウトー! / 

幽霊伯爵の花嫁 (小学館ルルル文庫 み 4-1)

デビュー作。
フェルナンデス侯爵家の娘だったサアラは領地や家族をとうの昔になくし遠縁のヒルベルト家に身を寄せていた。貴族ではないものの経済的に豊かなこの家の跡取り息子と婚約し暮らしていくはずだったが、ヒルベルト家周辺を含む一帯の領主を介してコルドン伯爵への縁談が舞い込んだ。サアラは婚約を破棄し、墓守の幽霊伯爵のもとへ嫁ぐことになった。

サアラのキャラが新鮮でおもろかった。物怖じしないしたたかな悪女(超美女)系? 謙遜はしたことないしこれからもすることはない。自分の美貌は武器! とか、深夜自分の部屋に現れた幽霊にこんこんと礼節についてを説教する。

望まれない政略結婚、よそよそしい使用人、不気味な屋敷のあたりは死神姫のアリシアと通じるところがあるけど(※ただし背中合わせ程度の違いさ加減!)みたいな。サアラのほうが相当肉食系女子。プリハーのジルも混ぜればいいんではなかろうか。

帯のあれはただのツンデレっぽいけど、引用元を読むとえらいいい感じだ。125ページ付近と275ページのあたりが好きだ。あとジェイクは可愛い人でした。

アイドルになんかなりたくない! (講談社X文庫?ホワイトハート)

2巻を「2巻」と知らずに買ってしまったので1巻を買った。
人気漫画家マドモアゼル・フランソワーズ・ブルボンスイーツの脱スランプ方法は可愛い息子にコスプレ(※女装)をさせて写真を撮ることだった。内部で収まるものならまだよかったが、その写真は公式サイトの人気コンテンツとなっており、人気ナンバーワンの美少女ネットアイドルとして名前をとどろかせている。本人の意向は別として。
サイン会で女装で参加せざるを得ない雰囲気に左近に、全寮制の私立男子校で生活中の右近と入れ替わりを提案される。

せびょうしは むらさきでも いいとおもう。

男子高校生はキャッキャウフフしているものですが、こんな闘争心のない男子高校生はいないと、おもうんだ。いくら育ちのいい子だとしても。目の前のサイン会から逃げ出したかった左近はまんまと別の事案を押し付けられることになったのだ。

勇者召喚ッ!! 条件その1・美少年であること (B's-LOG文庫)

そういえばビーズログは魔王様の話が結構多いレーベルなのでした。
帯からして既に「ちょっと変わった友情(以上?)召喚ストーリー」って書いてあったからニアホモ前提で読んだら普通にキャッキャウフフしてるだけだった。最近ここの境界が自分の中でかなりぐらぐらになってるからなー。とりあえず登場人物は概ね男です。

アルドはリンネの街の道場でいたかと思えば突然現れた扉に飲み込まれ、次の瞬間には祭壇のような場所で異形に囲まれ立っていた。カエルの顔をした騎士に「そなたこそが伝説の勇者にして王の盟友」と歓迎される。
魔王カマルと目を合わせた瞬間アルドは幼い頃のことを思い出していた。
闇に包まれた森で出口を探し彷徨い、友情を誓って別れたあのカマルが今の魔王なのだ。

父が亡くなり魔王の座を継いだカマルだったが、カマルに魔王の資格なしと異を唱えたのが彼の叔父バルカンで、王位を簒奪しようとしている。代々の魔王は世界の危機が近づくと半身である勇者を召喚して闇を払ってきた。そしてアルドがここに召喚された。

アルドの巻き添えで召喚されたロンが巻き込まれ型主人公過ぎる。
あの剣を選んでるシーンとか好きだな。

このサブタイトルでふいた。勇者となるための条件が、「見栄えのいい美少年で1幼い頃魔王と会っていること」というもの。

  1. 古今東西勇者たるもの小さな体で武器を振り回し巨悪を倒すものであるべき、という発想 []

吉原夜伽帳-鬼の見た夢- (小学館ルルル文庫 み 3-1)

吉原が舞台です。えろい方向ではなくて事件もの? 吉原だけに明るい物語ではありません。この薄暗さはいい。
わたし時代物はそんなに読まないのですが、ちょっと時代物を読んでる気分でした。
ずっと積んでる吉原手引草読まないとなと思いました。

外道菩薩と呼ばれる白髪赤目で妓有1青年弥太郎のもとに奇妙な来客が現れる。
ひとりの元遊女の不審な死と顔のない仏像。増える死体。愛憎。

改稿前からときめきやラブ成分大幅増量って改稿前はどんなんだろうか。
ちなみに私の最初のときめきは28ページです。ちょうときめき。弥太郎がいろいろ破綻している凶暴美形でよい。弥太郎と末葉はもちろんのこと弥太郎と尾高も好きだし末葉と夜菊も好きだしこの世界は美味い。

これは「81ルルルドラマチック小説賞」で、ドラマCD化前提の新人賞2なんですが、吉原夜伽帳はビジュアルありで見たいなあと思いながら読みました。死体の顔がはがされてたりきついシーンもあるんだけど3、死人桜の前のシーンとかは超映えると思う。

余談ですが扉ページで「ミズサワヒロ」を「ミズシマヒロ」と一瞬読んであれっと思った私です。

  1. 知らなかったのでぐぐってたら女郎の世話をする下男、時に用心棒 だった。 []
  2. この作品は文庫デビューのみ []
  3. でもうみねこはやってるしなあ []
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