雪迷宮 (幻狼ファンタジアノベルス)

あとがき曰く飛鳥・奈良の風俗を少し意識して平安と中華の要素も入っているけど、地球ではない異世界が舞台。名詞とかは漢字名なんですが不思議と和風とはなんか違う感じのファンタジーです。
恋愛もので一冊完結です。
本宮作品を読むのはこれが初めてで、「かつくらのメールインタビューで自分の読書履歴とキャラ萌え履歴をみっちり書いておられた方」という印象です。

神話の時代、その地には異界に通じる《門》がありそこから異形たちがふきだし世界は緩やかに滅びようとしていた。対策に頭を悩ませた王のもとへ自分は異界を奉じる巫女だと名乗る痩せこけた娘が現れた。
彼女は「異界の門を自分の胎内に封じる」と王に進言した。いずれ壊れる人の身に封じるのではなく血脈で封じるのだといった。
そうして《門》を守るため巫子姫は代々王の妃となり、巫子姫はかならず女児を産み胎内の《門》は娘に譲り渡されてきた。世界に唯一の赤い瞳は《門》を宿す巫女の特徴だった。
時代は流れこれは37代目の巫女の物語である。

封印設定に加えて「《門》は最初にあった場所からあまり遠くへ動かすことは出来なかった」という設定から何となくビーンズの封印の女王を思い出す。でも似てるかと言われれば全くそうではなく、わたしの中では「巫子姫の目は赤い」「胎内の門」から魔女とラフレンツェが飛んでくる。
純潔の結界はむしろ破られるべきなんですが最初の1回で懐妊しその娘が次代の巫女となるため、王以外と結ばれることは許されないのである。

読み始めてみるとなんだか行間が空いてる気がするなあでもフォントサイズは変わらないはず……と思って試しに手元にあった世界画廊の行数を数えてみる。18行。対する雪迷宮は16行。2行違うだけで見た目の「詰まってる感」がこれだけ違うのかと少し驚く。

初恋もえ。
とてもいい本だと思う。面白いしすげえ! とおもった。でも正直小骨が喉に刺さってる感があるのは否めない。
しかしこの本はネタバレを回避しつつ感想を書くのがとても難しい本だ。
すごい話だと思うしご都合展開でもないとは思うんですが、6:4で「ハッピーエンドであること」が残念な感じ。でも面白いんだから不思議な話だなあと。妾がよいね! むしろ雪より妾が主人公でもよかったね!