シャイターンの花嫁 偽りの巫女姫と影の王子 (一迅社文庫 アイリス く 1-2)

サンホラーが釣れるタイトルですが、この世界のシャイターンは封印されていた炎の悪魔ではなく精霊王にまつろわない呪いを残す精霊です1。あと主人公の女の子は死にかけたり愛すものすべてその腕をすり抜けたりしつつ、弱い私は誰を憎めばいいかちゃんと分かっています!  らららーららーらららららるー
花嫁で巫女姫ですがふわふわもきらきらはしていない復讐の物語ですヒャッハア。

10年ごとに王を輩出する氏族が変わる砂漠の国カダル王国において、別格の精霊王との契約を統べる巫女の一族フェッダ。その巫女のカミリア姫の形だけの近衛兵となったアイシャの物語。
巫女姫と一族を失いフェッダの宮殿は炎に消えた。アイシャは精霊王に仕える精霊のナーギに支えられ燃える宮殿で遭った黒衣の男への復讐心とともに剣の腕を磨き、「カミリア姫の生前の姿」に変身できる指輪を手にこの4年間を過ごしてきた。
そしてついにそのときがやってきた。現カダル国第1王子マハールか、マハールの軍団のうちの誰かがおそらく「カミリア姫を殺したあの黒衣の男」なのだ。アイシャはカミリア姫の姿でマハールの元へ嫁ぐ。
アイシャの中で黒い熱が力を帯びる。「近衛兵アイシャ」の人生はこれで終わりだ。これからはカミリアの亡霊として生きる。絶望の淵に立たせて後悔させてから殺してやる。

アイシャは「カミリア」として嫁ぐと同時に、初対面から副将軍のカファスに気に入られアイシャのままカファスの部下になる。アイシャとカファスは可愛い。追いかけっことかなんの燃料か。罪深い人間になってくれ!!!!
210ページの「私はあなたを殺すために、ここまで来た」っていうあれが死ぬほど好きなんですよええ!
何の燃料か!!!!! あらためてここのところを見るとどんな思いでカファスこれ聞いとるんや。というかアイシャ=カミリアを前にするカファスはどんな思いだった。やべええええ、と叫ぶ。
あとわたしは後半のカミリアになりたい。あのねじれた感がいい。ああいうキャラをやってみたいものだなあ。

ナーギはシャイタン2っぽい。甲斐甲斐しい。悪役もする。今あえて問うている。
大きい獣はいい。もふもふできる。わふわふいってる。

「もっともだな。だが、わたしは戦場で育った。もう、平和に暮らしていた年数より、戦場から戦場へと飛び回っていた年数のほうが長い。わたしの教師は戦場の将軍であり、わたしの遊び場は死体の転々と転がる荒野だった。恋歌の代わりにハゲワシの声を聞き、戦士の死を悼む歌と、昂揚して戦場を走り続けるための歌を聴いた」

(P80)
  1. まあ悪魔っぽい成分でもあるけど。 []
  2. 炎の悪魔のほう []