感想エントリは別にちゃんと書こうと思うんだけど初読時の衝撃を残しておきたいので睡眠時間を削ってこれを書きます。
あっちこっちからこの本はすごいぞすごいぞやばいぞというツイートはよく見ていたんですがもうなんかびっくりするほどすごかった。

「明日世界が滅ぶとしたらあなたはどうしますか」というよくある問い。
自分がもしというわけではなく推しがそういう場面に陥ったらみたいな感じで、考えたことがある人は多分多いと思うんだけど、この本は「1か月後、地球に小惑星が衝突します。どうにかしようといろいろやっていましたがどうにもなりません」という滅びの宣告がなされます。自分の命を賭して世界を救う宇宙飛行士は存在せず、滅びゆく世界が主に4人によって語られます。
いじめにあっていた高校生男子や、人を殺したヤクザ、恋人から逃げていた女性が滅びに向かう世界でどのように生き、過ごし、何を得ていたかがものすごく丁寧に、世界の荒廃とともに描かれます。

滅びゆく世界でも人は光や納得や理解や幸福を得る(ただし人によって差はあります)、なんだろうね設定から想像する鬱展開とか、絶望の中で見いだされる希望とか、そういう生やさしい言葉はなかった。ものすごくヘビーな本なんだけどこの本を読めてよかったという気持ちでいっぱいになっていまこれを書いている。

何でそういうのを書いているのかというとこの本は初刷限定で短編小冊子が封入されています。
滅びの前のシャングリラは発売前に重版しました。つまり世界にはもうこの素晴らしい短編がついていない小説が流通されているということだ。この短編はなにかに収録されることはないと聞かれています。が、ものすごいので読んでほしいんだよな。

推しの音楽を聞きながら世界が終わるなら、それは家にこもって最期の日を待つより上等なのではと思ったんだよなあ。

わたしは凪良ゆう作品と出会って、もう数年が経とうとしているんだけども、「ひとひとりの感情によりそって物語が丁寧に展開する物語が読みたい」と思っていて、その条件に適合するのがひとりが一穂ミチ、もうひとりが凪良ゆうでした。わたしの出会いがものすごくよかったのか、BL作家というのはそういう「感情に寄り添う物語」を書くことがうまいのか、数読んでないのでちょっとよくわからないんですが、「生きにくさを抱えている人たちがどうにかしてもがきながらもなにかを掴む話」というのが凪良ゆう作品でよくある話だと思ってます。それがすごくクリティカルにはまって今に至るんですが、流浪の月でどっかん世界に名前が知れ渡るようになったのは東京創元社の桂島さんが見つけてくれたおかげだし、神様のビオトープをめっちゃ売ってくれた梅田三番街の紀伊國屋書店の方々のおかげだと思うし、なんか「推しを生んでくれてありがとうと推しの親と世界にお礼をいう」みたいにわけのわからん謝辞を述べる程度には「滅びの前のシャングリラ」はものすごく面白い本でした。

ガッと書いて落ち着いたので寝ます!!! 明日ちゃんとした感想エントリを書くしこのエントリも残します。