「無理やり連れてこられた風の彼氏が映画が終わった頃には死ぬほど泣いていた」という感想が妙に気になって見に来た「劇場版すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ」

いい年した大人(独身)がめちゃくちゃ泣かされて出てきた。

最近そんなのばっかり見てるなと思うが、「マジLOVEキングダム」「HiGH&LOW THE WORST」と同じく特に必要な知識はない。圧倒的癒し系な見た目のキャラクターの紹介が入る。
ちなみにエンドロールで見て気づいたことだがナレーションはいのっちだ。

すみっコぐらしのキャラクターがやってきた喫茶店で謎の物音がして、創作していると絵本に吸い込まれたというはじまりかたをする。桃太郎や赤ずきんちゃんなど、有名な童話ベースのifだ。すみっコぐらしのキャラクターたちは声が設定されておらず、表情もそう変わらず、ナレーション(いのっち)で動くので雰囲気としては「動く絵本の読み聞かせ」だ。

ちなみに主な客層は未就学児とその親御さんだった。文字はなくはないが、分かりやすい絵といのっちが全部説明してくれるので困らない。
というか、特にオタク(想像力が豊かな大人)はしゃべらないすみっコの吹き替えを脳内でしてしまうために感情が大変なことになる。かつて「あらしのよるに」にズブった過去を持つ人は見てもいいと思うんだよな。
あとこれはうたプリのオタクとしての遺言ですが「とかげとにせつむりはHAYATOとさっちゃん」(冒頭でいきなり突き刺さった)

すみっコは絵本の中で不思議な生き物とあう。桃太郎のお供と言えばさる・いぬ・キジ。その後ろについてきた謎のひな。自分が何者かどこから来たのかもわからずひとりでいたところをすみっコが飛ばされてきたところを見て「なかま」という概念を知る。

そこでひなに感情移入したのがぺんぎん?だ。ぺんぎんは緑色の外見で昔はあたまのてっぺんにお皿がついていたような気がするけど、自分が何者かは分かっていない。ぺんぎんは仮称だ。そして好きなものはきゅうり。
自分を探しているひなのことが自分のことのように思えたのがぺんぎんだった。

一応ここから下はネタバレを含む。

絵本の世界で体験するのは一見癒し系のようだが甘えがない。寒さが嫌いで北国から逃げ出してきたしろくまがマッチ売りの少女、手に入れたすみっこさえも誰かきたら逃げ出すはずかしがりのねこが桃太郎で主役として働く。

そりを押して歩く際に疲れたひなをそりに乗せ風呂敷をまいて防寒にする。
えびふらいのしっぽととんかつのはしっこはその特性から放置されることが多く誰かに食べられることを望んでいる。その2体が飛ばされたのは赤ずきんちゃんの世界だ。つまり狼に狙われる世界だ。いざお前らを食べるぞというところになったら逆に狼が逃げだす。いらないという。しょんぼりとするえびふらいのしっぽ……!
わたしすみっコぐらしでの推しカプはエビフライのしっぽ×おおかみとぺんぎん×ひなだった。推しカプというても非常にきゅんとする組み合わせぐらいの意味合いだが。
そんなわけで絵本の話で好きなのは赤ずきんちゃんガチ。

ひなはみにくいアヒルの子なんじゃ? →いやちがうかーーい→からの白紙のページに書き足された孤独な存在。ひなもすみっコとおなじくはみだした存在だった。
一緒に暮らそうよ楽しいよってともだちのしるしを交換してからのひなは向こうの世界には行けないっていうのつらい。とてもつらい。

というか劇場版すみっコ暮らし伏線というか世界設定がめちゃくちゃちゃんとしているんだけど、にせつむりは塩が危険だとか、かたつむりの振りをしている貝は絵本の世界出入り口を通れないとかもうはじめのほうで明らかにされているわけですよ。あの門は生き物しか通れない。
えっあれとかげだっけ。人魚姫の世界観でにせつむりが海に落ちたら危ないからってオーバーヘッドキックしてたのめちゃくちゃえもくない。身を挺して友達を守っている。

自分は向こうの世界に行けないって知った時のひなはどういう気持ちでタワーのてっぺんからおりたんだ。ぺんぎんが取り乱してタワーのバランスが崩れた時にひなの涙よ。
わたしはあの時ぺんぎんから「おいていくなよ」という言葉を聞きましたよ。

死ぬほどどうでもいい話をするがNEWSをこの世界に放り込むならという想定で、わたしのなかでは満場一致でぺんぎんが加藤シゲアキだったんだけど、UFOキャッチャー的なアームが小山さんだなと。
あのUFOキャッチャーのアームさーーーぺんぎんが本を読んで動かなくなったらお前もみんなと行きなさいって送り出していたのに、あのラストではぺんぎんがひなと別れを惜しむ時間を与えるためにその身を使って出口が閉じるのを防いでいた。エモエモ。

ていうかあのエンドロールの映像なーーーーーーーー。ひなももうひとりじゃないんだなーーーと思ったらもう泣ける泣ける。
映画の最初の方はポップコーン食べてる音とか喋る声とかしてたけど、後半本当にだれーーも喋ってなかった。ラスト付近は後ろの女児が「泣いてるのかわいそう」ってめっちゃ泣いてた。そのぐらいちがうか。あの人数の未就学児を集中させるスクリーン凄いな。
日本のアニメすげえな。脚本すげえなって思いました。

久しぶりにここまで頭かち割られたぞ。