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2014年04月

雨の日のST☆RISH

 テイクアウト専門のファーストフードの軒先にそのアイドル達はいた。撮影の合間にほんの少し抜け出したのだった。オーダーにもたついて多少時間はかかったがまさかその数分のうちにそこまで天気が急変するとは誰も思わなかった。
 運が悪い。その一言に尽きる。
「キツネノヨメイリ! ワタシこの前マサトに教えてもらいました。お天気なのに雨が降るのです」
空を指差して言うセシルに音也はハンバーガーに噛み付きながら首をかしげた。
「狐の嫁入りっていうにはちょっと大雨過ぎるかな。これゲリラ豪雨っていうんだよ」
「ゲリラ……? ニホンの天気、色々言葉があってムズカシイ」
「まあいきなり降る雨だよ」
「ゲリラ豪雨って普通もっと夏っぽくなってから言うやつじゃねえの? 音也相変わらず雑」
 音也とは反対側で壁にもたれかかっている翔が話に突っ込んで話を終わらせる。誰かが喋るのはやめても7人もいれば大体誰かが喋りだす。元々無口なグループではないからなおさらだ。
「すぐ出られると思ったのに聖川がカタカナのオーダーに戸惑ったりしているからだよ。同じ分からないにしてもご老人のほうが可愛げがある」
「お前こそ来栖の注文をじっと聞いていたではないか。同じものを注文すれば作法を知らなくてもばれないとでも思ったか」
 トキヤと翔を間においてテイクアウト全般に不慣れな真斗とレンがにらみ合う。いつものことながらと翔とトキヤは聞き流しているが長々と言い合っている。
「ねえトキヤ、俺暑いし皆でここにいてもしょうがないから走って傘取りに行ってきてもいい?」
「いけません。濡れますし、どうせすぐにあがりますよ」
「俺フードかぶってるしちょっとぐらい濡れても風邪引かないから大丈夫だよ」
「誰があなたの心配をするというんです。衣装さんが泣きますからやめてください」
音也が頬を膨らませてトキヤに何かを言おうとした瞬間那月が大声を上げて向かいの通りを指差した。
「あ! 皆あれ見てください」
 那月が指差したのは向かいのビルの小さな街頭ビジョンだ。新曲のMVが繰り返し放映されている。今流れている映像はシャイニング事務所の先輩にあたる寿嶺二の新曲のMVだ。久しぶりの新曲は嶺二らしい曲調ではあるものの物悲しさに溢れた曲だ。日ごろのバラエティ色溢れた嶺二をよく知っている後輩たちはトレードマークのマラカスも持たずスタンドマイクひとつだけ握り締めて歌うMVをみてとても衝撃を受けた。
「僕達も頑張りましょうねえ」
 雨はやがて小降りになりつつある。やがてやんで空には大きな虹がかかるはずだ。

いんすぱいあーもと:https://twitter.com/jjiroooo/status/461486186721058816

トキヤで『いえない一言』

助けを求めることがひどく不得意でした。大抵のことは自分でできていましたし、まだ子どものうちに上京して長い期間一人暮らしをしていたので、仕事を介さない人との接し方に悩むこともありました。その点音也はそういうのがとても上手で学園時代から私はそれに振り回されることが多くて、困りました。

トキヤでわたしの涙は飾りなんかじゃないんです

「私だって涙のひとつやふたつ演技以外で流す事だってあるんです! 演技の装飾用じゃないんですよあなた分かっているんですか。心配ばかりさせるくせに本当に無神経なことばかり」「分かったからトキヤ、もうお酒はやめよ? 烏龍茶でも飲もうよ」「トッキーは元気だねえ」「寿さんうるさいです」

那月で『普通の尺度』

「普通の尺度では測れない」という那月への評価は誰しもが通過するところだったが、翔にとっての那月はもっと身近な存在だった。確かに理解しがたい行動は多かったがお互いによき理解者で無二の友人だった。2人はずっとこのままなのだろうと思っていたがある日その均衡は崩れることとなる。

さよならをしよう

ここにいるのはST☆RISHの一ノ瀬トキヤだ。もうHAYATOではない。これでようやく望んでいた自分らしく歌が歌える。今回のことで失ったものも迷惑も相当積み重ねてしまったが今後の動きで挽回できると信じている。もう1人ではないから大丈夫だ。1人で背負っていた時代はもう終わったのだ。

嶺二で『それ以上は許さない』

カミュと連絡が取れなくなった。神出鬼没なのは今に始まったことではないがこれほど音沙汰なしもあまり例のないことだ。
「あの貴族様、国に帰ったんじゃねえか?」
「ドーナツ山盛りにしといたらそのうち出てくるんじゃない?」
「ランランもアイアイもひどい! それ以上はれいちゃん許さないよ!」

レンで『好きなのにね』

おチビちゃん聞いてよイッチーが写真を撮らせてくれないよ」
レンは鏡に向かう翔の背中に向かって話しかける。
「また変なところで撮ろうとしたんじゃねえの? そういうのは大体お前が悪い」
「つれないなあ。オレはおチビちゃんもイッチーのことも好きなのにね」
「気持ちの悪い話はやめてください」


嶺二で『こんなにも愛されている』

美味しいごはんと家族と電気のついたおうちは「こんなにもぼくのことを愛してくれる人がいる」と分かってしみじみありがたいと一緒に酒を飲んだときに呟いていた。携帯電話を見ながら悲しそうにしていたあの男は幸せを掴んで夜の街から消えてしまった。もう代わりのもので間に合わせる必要はないのだ。

那月で『ちょっと黙って』

「あの、あいちゃん」
「ナツキは黙ってて。ボクはレイジに聞いてるんだよ。犬なんか拾ってどうするつもり? ボクたちがここにいるのは春までだしそれ以降は誰が世話をするの? そのあたりが明確にならないなら楽屋にも入れないよ」
「この子の目を見てよアイアイ! 捨てないでって言ってるよ」

トキヤで『夢だったらよかったのに』

夢だと言われるならどんなによかったことかとトキヤは苦虫を噛み潰したような表情で手に持った週刊誌を机に叩きつけた。表紙に大きく踊る「一十木音也、年下モデルと深夜密会泥沼三角関係の一部始終」という文字は何よりもトキヤを苛立たせた。あの男は本当に何度繰り返しても懲りることを知らない。

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